甘い話
「このツイート拡散したら抽選で1組2名様にハワイ旅行3泊4日プレゼントだって!」
「え、ほんと?俺も拡散しよっかなー
もし当たったら一緒に行こうな!笑」
「うん💖
ずっと2人でいれるね...🙈💓💓💓✨✨✨」
「そうだね...🤤🤤🤤🤤🤤🤤🤤🤤」
この世は酸っぱい。
梅干しのように。
それを忘れぬためにも、漢梅を日々携帯し定期的に食べるようにしている。
「うは〜〜、あの店員さんかっこいいなぁ〜...
あっ!今!!!!目が合っちゃった!!!!!!!!!
きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜//////////////////////」
「えっどこどこ?
っぁ、笑顔で手振られちゃった..............
死ぬ...........😭😭😭😭😭🙏🙏🙏🙏🙏🙏」
僕は漢梅を取り出した。
食べる前の緊張。
口にした瞬間に感じる強い塩気。
噛むと、目を覚ませと言わんばかりの衝撃が、口、そして全身に走る。
「わぁっ!!!♪
お客様、よくお似合いです〜〜!!!!🙌✨✨
この服可愛いですよね😆😆😆💓💓💓💓
この服のこの柄とかチョー可愛い😍❤️❤️❤️」
「あ、ありがとうございます...笑
今度海に行くんですよね笑
ちょっと気合入れたいんですけど、他に良さそうな服ってあります?笑」
「あっ!そうなんですね〜〜!!!
じゃあこれなんかどうですか〜〜?😦
このシフォン系の服とかボリューム感があるから、すっきり見えて可愛い!😆💞💞💞」
いくら一時は隠せても、塩水を浴びて肌に張り付いた服が浮き彫りにするのは、そのだらしない胸とお腹に他ならない。
漢梅を取り出すと、中から出てきたのは乾燥剤だった。
しょうがない、僕はコンビニに向かった。
「あーめっちゃ美味しそう〜〜選べない〜〜〜〜
どれがいいと思う?」
「わらび餅」
「え〜〜じじ臭い〜〜〜」
ならば聞くな、と心の中でツッコミつつ、漢梅を手に取りレジに並んだ。
「ねえねぇ、
なんで女の子が甘い物好きか知ってる?」
「早く決めろや笑」
「スイートでい続けるためだよ☺️」
「お客様!!!!!????!!!?????」
店内に200円を置いてから走ったことに気付くのは、犯人を特定しようと監視カメラを見てからのことだろう。
僕はありったけの漢梅を流し込んだ。
耳の後ろが痛い。
お腹に妙な清涼感がある。
袋に伸ばした手は止まることを知らなかった。
僕はまだまだ甘いようだ。